「プロバイオティクス」って何?

菌を殺すのではなく、菌と共生する

1929年、世界で最初の抗菌薬としてペニシリンが発見されました。菌を殺す抗菌薬のおかげで結核などが激減し、人間は菌による感染症を克服したかに見えました。
しかし、抗菌薬は種類によって効く菌が限られているため、特定の菌は抑えても、効果を示さない別の菌が増えて悪い影響を与えることが問題視されるようになりました。また、1つの抗菌薬を使い続けていると、最初は効いていた菌にだんだん効果がなくなってくることもあります。

このような現象が明らかになるにつれて、菌をただ殺すのではなく、菌と共生しよう、良い菌を積極的に利用しようという考え方が注目されるようになりました。

「プロバイオティクス」とは

最初に一般的となったプロバイオティクスの定義は、英国のフラー博士が1989年に発表した
「腸内フローラのバランスを改善することにより、人に有益な作用をもたらす生きた微生物(有用菌)」
というものです。
後に、プロバイオティクスの作用をより広範囲にとらえた
「十分量を摂取したときに宿主(ヒト)に有益な作用をもたらす生きた微生物」
が国連の食料農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)による2002年の合同会議で採択され、現在ではこの定義が主流になっています。

プロバイオティクスといえば乳酸菌やビフィズス菌が挙げられますが、
プロバイオティクスと呼ばれるにはいくつかの条件を満たす必要があります。

  • 「安全」であること。
    誰が摂取しても安全に利用できることが大前提です。
  • 「確かな効果を発揮する」こと。
    人を対象とした信頼できる試験で、効果が証明されているということです。

また、プロバイオティクスは日常的に摂り続けて健康を維持するのが目的なので、手頃な値段で食品として利用できることも特徴です。

プロバイオティクスとしての乳酸菌の可能性

乳酸菌は存在が知られるよりもはるか昔から、乳や野菜など腐りやすい食材の保存や、独特の風味を持つ食品の製造に利用されてきました。
近年、乳酸菌の性質や人に対する有用性が明らかになるにつれて、菌を摂ること自体を目的とした、プロバイオティクスの機能性をうたう製品が注目されるようになっています。

プロバイオティクスは世界中で多くの研究が進められ、人の健康維持・増進に役立つ新たな可能性に期待が寄せられているのです。