おなかの中のお花畑、「腸内フローラ」って?

腸の中に生きる菌たち

私たちの腸の中には、いろいろな菌がひしめく“菌たちのすみか”があります。
菌の種類は約1,000種類、数にして100兆個!
多種多様な菌がすみつく様子は、お花畑になぞらえて、腸内フローラと呼ばれています。

腸内フローラのバランスをくずす要因

腸内にいる菌の中には、乳酸菌やビフィズス菌のような有用菌ばかりではなく、体をむしばみ病気の原因となる有害菌もいます。
腸内フローラのバランスを保つということは、有害菌をおさえて有用菌を優勢にすることで、それが私たちの健康維持に関わると考えられています。
では、腸内フローラのバランスはどのような原因でくずれるのでしょうか。

① 食生活



たとえば食生活。私たち日本人は、かつては米を中心とした低脂肪、高食物繊維の伝統的な日本食を食べていました。しかし昨今、肉を中心とした高脂肪、高たんぱく質の欧米風の食事へと変化しています。

伝統的な日本食を食べている人は、欧米食を食べている人に比べて、便の中のビフィズス菌が多いことが確認されており、食生活は、腸内フローラバランスに影響を与えると考えられます。


②年齢



腸内フローラは年齢により変化していくことがわかっています。
人は産まれる前、母親の胎内では無菌の状態ですが、出生時に母親の産道を通って外界に出ることによって、さまざまな菌と出会いフローラが形成されていきます。腸内では、まず大腸菌の仲間が増え、続いてビフィズス菌が優勢になります。母乳にはビフィズス菌のエサになるオリゴ糖がたくさん含まれていて、ビフィズス菌優勢の腸内フローラ形成を促すためです。

一方、有害菌は、離乳期をむかえ普通の食べ物を摂りはじめると増えてきます。さらに老年期になると、体の機能が衰えて、未消化の食べ物が腸内に長くとどまるようになります。するとそれをエサにする有害菌が勢力を増し、ビフィズス菌は劣勢になっていきます。


③その他(ストレス・疾患・抗菌薬など)



ストレスや疾患なども、腸内フローラのバランスをくずす要因として知られています。また抗菌薬の使用も腸内フローラに大きな影響を与えます。
抗菌薬は、感染症の治療で欠くことのできないものですが、細菌を殺すための薬であり、有用菌・有害菌の区別はできません。そのため、有用菌を含む多くの腸内細菌を減少させます。通常は1~2週間で元に戻りますが、病気や手術で長期にわたり抗菌薬を使用すると、常に腸内フローラは乱れた状態になってしまいます。

腸内フローラのバランスを保つために

腸内フローラのバランスがくずれ、有用菌が減ってしまうと、便秘や下痢などさまざまな体の不調が起こりやすくなります。 良好な食生活やストレスのない生活は、健康づくりに役立つだけでなく、人と腸内フローラの望ましい関係を築くうえでも大切なことなのです。
有用菌を増やすには、食物繊維やオリゴ糖など有用菌のエサになる食材を意識的に取り入れることや、乳酸菌やビフィズス菌のような有用菌を外から補うことなどが手軽に実践できる方法です。